赤石五葉松の価値を高めた男
農業生産法人合同会社 赤石の泉の会長を務める森髙準一氏は、盆栽を見る目に長けている。ダイヤモンドの原石をみつけるかのごとく、良質な盆栽素材を見抜き、一級品の盆栽に仕立て上げる。園内には美術館といっても過言ではないぐらい、芸術的な盆栽が並んでいる。また、海外向けに多くの盆栽を培養し、「赤石五葉松」をヨーロッパに輸出している。森高氏のお眼鏡にかなって輸出された盆栽は海外の愛好家に高く評価され、赤石五葉松の名声をさらに高くしていく。
地元を世界へ
森高氏は赤石の泉の会長としてだけでなく、地元の生産者代表として、赤石五葉松輸出振興組合の会長を努めている。赤石五葉松と地元への強い思いをもって、赤石五葉松が世界的な盆栽ブランドになるよう尽力してきたことが2019年10月に大きく実をむすぶ。ローマ法王フランシスコに盆栽を寄贈したのだ。謁見した森高氏の映像は多くのメディアでも取り上げられ赤石五葉松は国内外で名声を確かなものとした。
盆栽界の大きな仕事に取り組む
こうした森高氏の仕事は全国の生産者や盆栽関係者も知る所となり、縮小している盆栽市場の中で関係者にとっても希望の光となった。森高氏に相談する生産者も増え、ブランディング輸出のムーブメントは赤石五葉松にとどまらず、他の生産地にも広がり、森高氏の仕事は盆栽界の未来をも背負うことになる。現在、進行しているプロジェクトである日本直営のドイツの盆栽管理棚場立ち上げは、ヨーロッパへのシームレスな盆栽輸出を可能とする、盆栽業界にとっても希望の光である。
二人三脚
業界団体の仕事に追われる森高氏を支えるのは赤石の泉の代表を務める佐藤和洋氏だ。高校時代からの友達であった佐藤氏をひょんなことから盆栽業界に引き込んだ。盆栽のことはまったく知らなかった佐藤氏だが、森高氏の赤石五葉松に対する熱い思いから、自身も盆栽にのめり込み、赤石五葉松のブランドを守るべく日々、盆栽と向き合っている。
観光農園化を視野に
世界で名声を得た赤石五葉松を、観光の資源として、赤石の泉は次のステージを見据える。四国中央市土居町のこの赤石五葉松の生産地は、畑に植わった盆栽風景や、盆栽園など訪れるものを楽しませるのにこと欠かなない。しかしながら、宿泊施設は整備されておらず、観光には乏しいのが現状だ。そこで産地として、宿泊から、盆栽体験、盆栽を通じて観光を楽しめるようになればと考えている。赤石の泉は森高、佐藤の両氏の地元への強い愛が事業をすすめる原動力となり、またその思いに人々が集まり、賛同者を増やしながら前に進んでいる。今後の赤石五葉松と生産地の未来が楽しみで仕方がない。
農業生産法人 赤石の泉
- 住所
- 愛媛県四国中央市土居町上野甲1525番地
- 電話
- 0896-74-2698